ワーキングプア 日本を蝕む病

2006年に放送されたNHKの番組の内容をもとに、日本で急増しているワーキングプアの現実を一般市民の立場から記録・公表した素晴らしい1冊です。

 

 

ワーキングプア―日本を蝕む病

1296円

 

 

私がワーキングプアと呼ばれるフルタイムなどで働いても生活保護水準にも満たない暮らしを強いられている人々が大勢いるということを知ったのも、NHKの番組がきっかけでした。

 

 

「努力が足りない」などと言えるわけがない

 

 

この本をご覧になっていただければ簡単に理解できると思いますが、ワーキングプアの方々は例外なく一生懸命に働いているということです。  

 

 

ある30代のシングルマザーの母親は睡眠時間を4時間程度に減らしながらもフルタイムの非正規労働で働きながら子供2人を育て、生活のために更に弁当工場で働かざるを得ないという暮らしです。

 

 

育児をしながら2つの仕事を掛け持ちしていても、毎月の給料は20万円にも満たないという実態でした。

 

 

また、北海道で病院患者の食事の調理補助で働いていた20代女性についても、フルタイムでの労働をこなしても時給700円以下のため、毎月の手取り月収は10万円にも満たないケースもあります。

 

 

他にも空き缶を拾い集めて換金することでかろうじて生活する老夫婦や、ガソリンスタンドなど複数のアルバイトをしながら子供を育てる父子家庭など、こうした事例はあまりにも多いことが分かるはずです。

 

 

そして、よく言われるのが

 

 

「ワーキングプアなんてのは自己責任だ」
「収入を増やす努力をしていないからでしょう」
「怠けているだけなんじゃないの」

 

 

・・・などという言葉が少なくないということです。

 

 

しかし、この本を手に取ればワーキングプアが単なる個人の自助努力の問題だけで片づけてはならない問題であることが本当によくわかります。

 

 

事実、収入の向上につながるような資格取得をするお金も時間も確保すること自体が、貧困家庭の中ではとても難しいという現実があります。

 

 

また、上記の北海道の女性は生活を少しでも楽にするために6カ月ほどの時間をかけて調理師免許を取得したにも関わらず、上がった時給はわずかに10円だけでした。

 

 

670円が680円になっただけです。資格を取る努力をしていても結局全く報われることが期待できなくなっているという問題は、個人の自助努力の範疇(はんちゅう)なのでしょうか?

 

 

非正規雇用が増えたのも、ワーキングプアが年々増加し続けているという問題も、突き詰めれば格差の是正というものに真剣に政府などが向き合わっていないことの裏返しのはずです。

 

 

こちらの方がむしろ大きな問題だと私は考えます。

 

 

世界でも有数の経済大国と呼ばれる日本でも深刻な貧困もありますし、現に食べることもできずに餓死している人も沢山いるわけです。

 

 

そして、こうした日本の貧困などの問題についても学校教育で何一つ教えられていないということも私はあまりにもおかしいと感じるのですが、いかがでしょう。

 

 

学生たちも将来は大部分は労働者になりお金を稼がなければならなくなるはずですが、いつどんな未来になるかなど誰にも分かりません。

 

 

学校が豊かな人間を育てるためにあると言うのは結構ですが、それならばなぜ生きるのにとても重要なはずのお金の教育や、貧困の問題などを全く教えていないのでしょうか?

 

 

海外でも貧困はもちろんありますが、まともな対策を行わないという意味で日本はとても貧しい国だと思うのは私だけでしょうか。


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