増え続けるワーキングプア

ワーキングプアという低所得者が2000年付近から社会問題になっていますが、この低所得者を生み出しているのが他ならない義務教育です。

 

 

働いても豊かになれない労働者

 

 

ワーキングプアとは直訳すると貧しい労働者と言う意味であり、明確な定義というのは存在しませんがおよそ以下の定義が判断基準になります。

 

 

正社員もしくは非正規雇用者でフルタイムの労働に従事しながらも1年間の所得が生活保護水準に満たない労働者

 

 

私がワーキングプアという言葉を知ることになったのは2006年にNHKで放送されていた「ワーキングプア〜働いても働いても豊かになれない〜」という番組でした。

 

 

世界屈指の経済大国と呼ばれるはずの日本の中に存在する低所得者層の現実を、初めて知ったのはこのときでした。

 

 

そして、懸命に働いても生活していけるのかどうかすら分からない人々が沢山存在するという現実が痛いほど伝わってきた衝撃は今でも忘れる事ができません。

 

 

日本では年収200万円以下の低所得者層がワーキングプアとみなされていますが、そのワーキングプアの数は決して少なくありません。

 

 

むしろ、年々増え続けているというのが現実です。では、このワーキングプアと呼ばれる低所得者はどのくらい存在するのかをグラフに示します。なお、国税庁の民間給与実態統計調査を元にグラフを作成しております。 

 

 

 

日本の労働者人口の実に5人に1人がワーキングプアと言われていますが、2014年では1100万人を超えているという統計になっています。

 

 

戦後の日本は高度経済成長と呼ばれる好景気が続き、急激な経済成長を遂げました。その当時の日本は終身雇用制度が一般的であり、1つの会社に入社して定年退職まで労働すると言う流れが普通でした。

 

 

そして勤続年数が増えるにつれて給与も上昇する年功序列型賃金が一般的で、何よりも高度経済成長期の日本企業では社員を手厚く保護して利益を還元するという考えが浸透していました。

 

 

だからこそワーキングプアと呼ばれる人々は少なかったのです。

 

 

バブル崩壊から流れが一変

 

 

1990年代のバブル経済崩壊後にそれまでの日本企業の雇用形態は一変し、倒産する企業が相次ぎ失業者も増えるという状態が社会問題になりました。

 

 

それまでの終身雇用が当たり前という流れから非正規雇用の従業員を増やすなどして人件費を削減し、生き残ろうとする流れが主流になってきたのです。

 

 

そして、このワーキングプアと呼ばれる低賃金労働者の人々もこの非正規社員を増やして利益を確保しようとする日本社会の流れの中から誕生しました。

 

 

「使い捨ての労働者」を増やす方針は決まっていた

 

 

では、本当にこのワーキングプアと呼ばれる人々は偶然に生まれてしまったのかと言うと、実はそうではありません。

 

 

1995年に当時の日本経営者団体連盟は「労働者を3つの階層に分類し管理する必要性」を発表していました。

 

 

1 長期蓄積能力活用型

2 高度専門能力活用型

3 雇用柔軟型

 

 

ワーキングプアと呼ばれる低賃金労働者・非正規労働者らはどの位置に属するか、もうお分かりでしょう。

 

 

そうです、3番目の雇用柔軟型と呼ばれる階層に位置づけられ、企業が必要なときに臨時的に採用し必要が無くなれば容易に解雇することができるという使い捨てのコマと同じ扱いです。

 

 

日本企業の多くがそれまでの「社員を大切にし、守り育てる」という経営を中止するべきだと判断し、非正規労働者を増やすことを明言していた背景があるのです。

 

 

 

 

 

また、1999年には労働者派遣法の変更により派遣労働者の数が急増しました。

 

 

それまではごく一部の職業でのみ雇用が許されていた派遣労働者が、殆どの職種で受け入れ可能という状態に変更されたのです。

 

 

派遣労働者らは企業の都合により雇用期間が過ぎれば仕事が無くなり解雇されるというのが一般的であり、非常に不安定な生活を強いられるのがごく普通です。

 

 

賃金の上昇も殆ど見込めず、社会保障制度などの加入も困難です。

 

 

こうした非正規労働者が急増したのは本人の自己責任の問題だけで片付けられるはずがありません。

 

 

もはやこうした低賃金労働者たちを企業が重宝し、搾取しているというのが現在の日本の実情です。

 

 

政府の教育内容に問題は無いのか?

 

 

そして、私自身が思うにこれらのワーキングプアなどの問題は現在の日本の学校の教育内容と深く関係しているとしか思えません。

 

 

なぜ将来労働者になるはずの学生たちにお金に関する教育を施さないのか?

 

 

なぜ労働に必要な法律などをしっかり教えないのか?

 

 

なぜ「企業に雇用されて労働する」以外の道を教えられないのか?

 

 

日本という経済大国の中でも貧困や不安定雇用で苦しんでいる国民が大勢存在する中で、教育の内容というのは変化していると言えません。

 

 

義務教育というのはそもそもとして「国家の発展に必要な労働力を育成する」ということを本来の目的として作られましたが、現在の日本では低賃金・単純労働者の育成の場でしかないのが現状だと断言できます。

 

 

ワーキングプアの問題は現在に始まった事ではなく人類の歴史上ずっと続いてきたと言えますが、文明が進んだ現代にあっては国家が率先してその解決を図るべきだというのが私の結論です。


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